せいわ法律事務所

法律コラム

2021.08.17

奥さんが不倫した。そのとき子供の親権は!?

森田 翔太郎

『不倫って本当に夫婦の問題・・・?』

こんにちは。弁護士の森田翔太郎です。
今回は、自分の奥さんが不倫をして離婚となった場合その子供の親権はどうなるのか?についてお話ししたいと思います。

太郎さんは、奥さんの花子さんと、5歳の子供一郎君との3人で仲良く暮らしていました。花子さんは、旅行が大好きで、休日によく友人と泊まりの旅行に行っていました。反対に、太郎さんは、休日は家にいることが多く、花子さんが旅行に出かけている間は、子供の世話をしていました。
ある休日、珍しく太郎さんは、花子さんと一郎君を家に残し、仕事の同僚と一緒に海でサーフィンを楽しんでいました。太郎さんが海の家で休憩していると、なんと、遠くに花子さんの姿が。よく見ると、花子さんは知らない男性と2人で仲良く歩いているではありませんか。太郎さんは、「花子は家で一郎の世話をしているはずだぞ?それに、あの男誰だ?」と疑問に思い、家に帰ってから花子さんに聞いてみることにしました。太郎さんが花子さんにそのことを聞くと、花子さんは、「ごめんなさい。あの人と不倫しています。」と不倫していたことを認めました。太郎さんはショックと怒りが収まらず、花子さんをどうしても許すことができませんでした。結局、2人の関係は修復することができず、やむなく離婚することになりました。太郎さんは、一郎君を溺愛しており、不倫をした花子さんに親権を譲ることなど絶対にできないと考えていました。
さぁ、一郎君の親権はどうなるのでしょうか?

まず、親権の基本からお話しします。
子供の父母が婚姻中は、父母が共に親権を行使します。
そして、離婚する場合は、必ず親権者の指定をしなければなりません。協議離婚の場合、親権者の指定は、まず父母の協議で行われます。協議が調わないか、協議をすることができないときは、家庭裁判所が協議に代わる審判をするとされています。裁判離婚の場合は、裁判所が親権者の指定をします。
裁判所が親権者の指定をする場合、どのような事情を考慮するのでしょうか?
一言でいうと、夫婦のどちらが親権者となることが子供の福祉に適うかどうかという視点から判断されます。具体的には、父母双方の事情(監護に関する意欲と能力、健康状態、経済的・精神的家庭環境、居住・教育環境、子供に対する愛情の程度、実家の資産、親族・友人等の援助の可能性など)や、子供の側の事情(年齢、性別、兄弟姉妹関係、心身の発育状況、従来の環境への適応状況、環境の変化への対応性、子供自身の意向など)を総合的に考慮して判断するとされています。
では、奥さんに不倫があった場合はどうでしょうか。
一般的に、夫婦の問題と親権者の適格性は別問題であると考えられています。不倫は、法的には離婚原因となり慰謝料も発生するもので、また倫理的にも非難されるものではありますが、それを理由として、直ちに親権者として不適格であるとは判断されません。
しかし、不倫というのは、必ずしも夫婦の問題と言い切れるわけではありません。
太郎さんと花子さんの話に戻りましょう。
太郎さんも花子さんも、一郎君の親権についてはお互い譲らず、協議によって親権者を指定することはできませんでした。そのため、裁判所の審判により親権者の指定がなされることになりました。
今回、花子さんの話を詳しく聞くと、平日の日中に太郎さんが仕事に出ているときも花子さんは頻繁に一郎君を家に放置して不倫をしていたこと、休日に友人と旅行に行っていると思いきや、実は太郎さんに家事や育児を押し付けて不倫旅行を繰り返していたことが分かりました。
このような事情がある今回、裁判所は、花子さんは一郎君の監護に関する意欲・能力が低い、一郎君への愛情が欠けている、一郎君の心身の発育にとって花子さんと同居するのは好ましくない、などの評価をし、花子さんは一郎君の親権者としては不適格であるとして太郎さんを一郎君の親権者として指定しました。
結果的に、太郎さんは、大好きな一郎君とこれからも一緒に暮らすことになりました。

「不倫」と聞くと、夫婦間のみの問題であると捉えてしまいがちです。
テレビのワイドショーでも、「夫婦の問題ですから。」という声はよく聞きます。
しかし、このように、単に不倫そのものを考えるだけではなく、不倫の態様によっては、それに伴って、子供に様々な悪影響を及ぼすことがあるということを忘れてはいけません。そして、不倫も親権者指定の際の重要な考慮要素になりうることがお分かりいただけたと思います。

いかがでしたでしょうか?
離婚の際に親権者の指定がされたあと、それを変更するのは簡単ではありません。親権者の指定は、親にとっても子供にとっても大変重要な場面です。一度弁護士にご相談してみてはいかがでしょうか。

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