せいわ法律事務所

法律コラム

2020.04.17

「働き方改革推進支援助成金」新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコースについて

市川 一樹

1 概要

厚生労働省は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、働き方改革推進支援助成金(令和2年度より、「時間外労働等改善助成金」から名称変更)に「新型コロナウイルス感染症対策を目的としてテレワークの新規導入に取り組む事業主を支援する」特例コースを時限的に設けました。

2 対象事業主

支給対象となる事業主は次のいずれにも該当する事業主です。

① 新型コロナウイルス感染症対策としてテレワークを新規で導入する中小企業事業主

〈対象となる中小企業事業主〉
業種A:資本または出資額B:時雇用する労働者
小売業(飲食店を含む)5,000万円以下50人以下
サービス業5,000万円以下100人以下
卸売業1億円以下100人以下
その他の業種3億円以下300人以下

② 労働者災害補償保険法を適用していること

2 助成対象となる取組

①テレワーク用通信機器(※)の導入・運用

(※パソコン、タブレット、スマートフォンの購入費用は対象となりません)

②テレワークの導入・実施に関して、以下の取り組みをいずれか1つ以上実施
(a)就業規則・労使協定等の作成・変更 等
(b)労務管理担当者に対する研修
(c)労働者に対する研修、周知・啓発
(d)外務専門家(社会保険労務士など)によるコンサルティング

2 要件

事業実施期間中にテレワークを実施した労働者が1人以上いること

3 助成の対象となる事業実施期間

令和2年2月17日~令和2年5月31日
※計画の事後提出を可能にしたため、令和2年2月17日以降に行った取組は、交付決定の前であっても、特例として助成対象になります。

4 支給額

補助率:1/2(1企業当たりの上限額:100万円)

5 申請手続きの流れ

助成金を申請する流れとしては以下の3ステップで申請可能です。

①「働き方改革推進支援助成金交付申請書」を実施計画書などの必要書類とともに、テレワーク相談支援センターに提出(締切は5月29日(金))
※後日、厚生労働省から交付決定通知書が送付されます
②これから取組を実施する場合は、計画に沿って取組を実施
※要件に合致する場合は、2月17日以降交付決定までの取組も助成対象
③事業実施期間終了後、テレワーク相談センターに支給申請(締切は7月15日(水))
※厚生労働省から支給されます

6 参考

以上が、テレワーク特例コースの内容です。通常のテレワークコースは、支給対象となる取組は、「成果目標」を達成することを目指して実施する必要があります。しかし、今回は通常のテレワークコースの要件を簡素化しているので、目標達成は求められないものと思われます。
参考までに、通常のテレワークコースですと、成果目標をすべて達成した場合、助成率が3/4、1企業あたりの上限額は150万円ですので、特例コースの助成内容は成果目標を達成しなかった場合の助成率・上限額と同じになっています。

達成の場合未達成の場合
補助率3/41/2
1人当たりの上限額20万10万
1企業当たりの上限額150万100万

7 まとめ

現在、リモートワーク推進により各企業でテレワーク制度の導入が進んでいます。しかし、導入に際して費用が掛かるため、中小企業では大企業と比較してテレワーク制度の導入が進んでいない傾向があるようです。このような状況から、国はテレワークを新規で導入する中小企業に対して、こうした助成金制度によるサポートを行なっています。是非ご活用ください。
また、通常のテレワークコースの令和2年度分の受付は令和2年4月1日から開始されました。詳しい情報は厚生労働省サイトをご確認ください。

初回相談30分無料

お気軽にご相談ください

TEL.052-211-7963

平日 09:00〜18:00 ※土日祝夜間相談:ご予約のみ