せいわ法律事務所

法律コラム

2020.07.02

私働きすぎ・・・?

市川 一樹

今日は、従業員の労働時間について、お話させていただこうと思います。

▼ 動画【 みんなの労働法「私って働きすぎ?」(労働時間) 】

会社は、従業員に対し、1日8時間、週40時間を超えて、労働させてはいけません(労働基準法32条)。

このルールについて、裁判上問題になった事案を基に、考えてみましょう(参考判例:横浜地裁令和元年6月27日判決)。

甲野さんは、大学を卒業し、就職しました。
就職の際、会社との間で、「1日8時間勤務、週6日(月~土)勤務(週48時間勤務)、月給30万円」との労働条件を内容とする労働契約を締結しました。

働き始めて3か月後のある日、甲野さんは、久しぶりに、大学時代の友人である乙村さんと食事に出かけました。
甲野さんは、乙村さんに対し、「休みが少なくて大変なんだよ~。」と愚痴をこぼしました。
それを聞いた乙村さんは、「え!?休み1日しかないの?あり得なくない?」と驚きました。
甲野さんは、乙村さんが驚いたのを見て、「あれ?私働きすぎ・・・?」と疑問に思いました

さて、ここで問題です。
甲野さんと会社との労働契約は、甲野さんに対し、週40時間を超える労働を課すものであり、労働基準法32条に違反しています。
では、甲野さんと会社との労働契約は、法的にどのように処理されるでしょうか?

➀違法な労働契約なので、全部無効になる。
②違法な部分(週48時間勤務)のみが無効となり、40時間勤務に修正される


正解は②です(全部無効にすると、甲野さんは職を失ってしまいますね)。
甲野さんと会社との労働契約は、「1日8時間勤務、週40時間勤務」に修正されます。
超過分の8時間(48時間―40時間)は、残業として、残業代(割増賃金)を請求することができます。

甲野さんは、「やっぱり私働きすぎだったんだ!」と気づきました。
しかし、賢い甲野さんは不安に思います。
「あれ?私は週48時間働くことを前提に月給30万円なんだから・・・。週40時間になると、月給も下がっちゃうの・・・?」。

ここでもう一つ問題です。
甲野さんの月給は、どうなるでしょうか。

➀月給30万円のまま。
②月給25万円に下がる ※30万円×40/48=25万円


正解は➀です。
月給30万円は、修正された労働時間(週40時間)に対する対価として支払われたことになります。

甲野さんは安心して、会社に残業代(8時間×土曜日働いた日数)を請求することにし、弁護士に相談に行きました。

いかがでしたでしょうか。
皆さんも、ご自身の労働契約を見直してみてください

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