せいわ法律事務所

法律コラム

2020.06.03

Resgent(リスジェント)の意義

市川 一樹

リスジェントは、経営者に代わり、弁護士が労働者と退職交渉を行うサービスです。

その性質上、いわゆるクビ切り屋と言われてもやむを得ないと思っていますし、労働者から見れば、我々は敵視されて当然だと思っています。

しかし、詭弁と言われるかもしれませんが、リスジェントは、経営者のためだけのサービスではなく、結果的に労働者にとっても良かったと言ってもらえる様なサービスであると考えています。

我々弁護士も、学生時代、まさか経営者から労働者との退職交渉を依頼されるとは考えてもいませんでした。

「労働法の世界では、雇用主の立場が圧倒的に強く、労働者の立場は弱い。雇用主は人事権という圧倒的な権限を持っているから、独善的な、身勝手な雇用主から労働者を守らなければならない。」司法試験に向けて勉強しているときは実際そう考えていました。

ただ、現実の経営者は想像上のブラック経営者ばかりではありませんでした。

その労働者自身には悪意がなくとも工場の機械や備品を次々と壊してしまう労働者、社内で営業成績は良いもののパワハラ、セクハラを公然と行う労働者、会社のお金を横領してしまう労働者など、労働者にもさまざまな人がいます。

もちろん、労働者の方が悪いわけではなく、結果的にはすべて指導管理ができなかった経営者の責任だと思います。

労働者にその責任を押し付けることはできません。

それが組織を経営するということの責任だと思います。

「では、経営者としてはその責任を具体的にどう果たさなければならないのか。」

一度雇った以上、雇った者の責任として一生雇い続けなければならないという考え方もあるでしょう。日本の終身雇用制度はこのような考え方を前提にしていると思います。だからこそ、採用時に厳しく応募者をみて判断しなければなりません。

しかし、それでも完全に採用時に適切な判断をすることはできないので、やはり組織と労働者が合っていない、ミスマッチが起きてしまうことがあります。

このとき、仮にミスマッチが起きている労働者が組織内に残り続けたら、その組織はどうなるでしょうか。

例えば、営業成績は良いものの、パワハラ、セクハラを繰り返す労働者が組織内に残り続けたらどうなるでしょうか?まず、他の従業員は、経営に対してその労働者にパワハラ、セクハラを止めるよう指導してほしいと考えるのではないでしょうか。

それでもパワハラ、セクハラが止まらなければ、他の従業員はパワハラ、セクハラをしている労働者を辞めさせてほしいと考えるのではないでしょうか。

しかし、経営者としては営業成績の良い労働者に退職されると組織の存続が危ぶまれるかもしれないとも考えますし、その労働者にも家族がいて、家に帰れば良い夫、妻、良いお父さん、お母さんであり、良い息子、娘であるはずです。その労働者の生活や家族のことを考えればそんな簡単に退職をさせることもできず、非常に大きな葛藤が生まれます。

経営者の個人的な感情としても、長年一緒に働いてきた仲間でしょうから、寂しい気持ちや悲しい気持ちから、なんとか組織の進むべき方向性とマッチしてほしい、改善して欲しいと悩むでしょう。

しかし、それでも、改善されないのであれば、経営者は決断を迫られることになります。

結果的に、経営者の力不足でパワハラ、セクハラを止めさせられず、その労働者が退職しなければ、徐々に組織から他の従業員が離れていったり、この組織は営業成績さえ良ければパワハラだろうがセクハラだろうが何しても良いんだなと従業員が感じ始め職場内の雰囲気が悪くなっていきます。

また、そのパワハラ、セクハラをしている労働者も必ずしも幸せではないかもしれません。現実には他の従業員にもっとここを改善してほしいと厳しく接してしまったことで、影で嫌なことを言われて、ストレスを感じている人もいます。

そうなると、経営者が、パワハラ、セクハラをしていた労働者をも守りたいと思っていたとしても、結果的に人が離れて組織が崩壊してしまい、誰も守れなくなることすらあり得ます。

このような悩みは答えがなく、非常に精神的負荷が高いものです。 経営者としては、パワハラ、セクハラをしている労働者のことすら個人的に嫌いではなく、本当はできることならこれからも一緒に頑張って行きたいと考えていることが多いからです。

その精神的な負荷を我々のサービスで少しでも和らげることができるのであれば、組織の存続にとって少しでも役立つのであれば、価値はあると思っています。

詭弁に聞こえるかもしれませんが、ミスマッチを起こしている労働者の方にとっても、その人にマッチする職場を探す転機にもなり得ると思っています。

もちろん、世の中、このように従業員のことを真剣に考えている経営者ばかりではないかもしれません。それこそ従業員をモノのように扱って、気に入らなければクビをするいわゆるブラック経営者もいると思います。

ただ、我々のリスジェントは、そもそもブラック経営者には利用されていません。

ブラック経営者は、労働者をクビにすることに抵抗すら感じず、自らの思うがままと考えているので、弁護士費用をかけてまで労働者と退職の交渉などをする必要がないからです。

リスジェントは、組織やそこで働く全労働者(退職する人、働き続ける人)のことを真剣に考えて悩んでいる経営者に向けたサービスです。

賛否両論あることは重々承知の上で、それでもなお経営者の方々の負担を少しでも減らし、各労働者がマッチした職場で生き生きと働けるための一助となればと考え、立ち上げました。

今後ともよろしくお願い申し上げます。

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