2026.3.25
【2026年4月スタート】養育費制度の改正について

【はじめに】
「離婚は決まったけれど、養育費の話し合いが進まない……」
「相手から『離婚してやるけど、養育費は払わない』と言われ、諦めてハンコを押してしまった……」
こうした状況で泣き寝入りせざるを得なかった方々に朗報です。
2026年4月1日から、改正民法が施行され、養育費に関するルールが大きく変わります。
今回の改正の目玉は、話し合いがまとまらなくても請求できる「法定養育費」の新設、不払いに対する「差押え(強制執行)」の簡略化です。
以下では、抑えるべき4つの重要ポイントを解説します。

1. 「法定養育費」により、取り決めがなくても請求可能に
これまでは、離婚時に養育費の金額を決めていないと、後から請求しても「請求した月」からの分しか受け取れないのが原則でした。
特にDV被害などで話し合いが難しい場合、大きな不利益となっていました。
今回の改正により、養育費について取り決めをせずに離婚した場合でも、以下のルールで請求できるようになります。
いつから?:離婚した日まで遡って請求できます。
いくら?:原則として子供1人につき月額2万円です。
いつまで?:子供が18歳になるまで、または、養育費の取決めをするまで。
対象は?:2026年4月1日以降に離婚するケースが対象です。
※【注意点】
月2万円で満足しないでください!
この「月2万円」はあくまで最低限の金額です。本来、養育費は、双方の収入で決まります。
例えば、子1人(14歳以下)の場合で、支払ってもらう側の年収が100万円程度、支払う側の年収が400万円程度であれば、本来の養育費は月4万円程度です。
「2万円もらえるから話し合わなくていい」と考えるのではなく、双方の収入に基づき、養育費を適切に取り決めることが大切です。
2. 財産の「差押え」がぐっと容易に
これまでは、相手の給料などを差し押さえるためには、公正証書(強制執行ができる旨を記載したもの)、あるいは、家庭裁判所が作成する文書(調停調書・審判書・判決)が必要でした。
2026年4月からは、こうした書類(債務名義といいます)がなくても、「離婚協議書」や「合意書」等、父母が私的に作成した書面があれば、以下の範囲において、優先的に差押え・回収ができるようになります。
私的な合意書がある場合:子供1人につき月8万円まで
私的な合意書がない場合:法定養育費の範囲(子供1人につき月2万円)まで
※【注意点】
公正証書の作成、家庭裁判所の手続は、今後も重要です!
月8万円を超える養育費を確実に回収したい、書類不備で差押えができなくなるリスクを避けたいのであれば、これまでと同様に、公正証書を作成する、あるいは、家庭裁判所の手続きを利用することが、確実な方法です。
3. 相手の「隠し収入」を逃さない
養育費の金額を決める際、相手が収入資料(源泉徴収票等)を提出しないと、正しい計算ができませんでした。
2026年4月からは、家庭裁判所が父母に対し、収入資料の提出を命じることができるようになります。もしこれに従わない場合(提出しない場合)、あるいは、ウソの報告をした場合、10万円以下のペナルティ(過料といいます)が科されます。
4. 手続が「ワンストップ」でスムーズに
これまでは、不払いが発生した際に相手の財産(勤務先や銀行口座)を調査する手続と、実際に差し押さえる手続は、別々となるため、その手間が生じていました。
2026年4月からは、「財産を調べる申立て」をするだけで、そのまま「差押え」まで自動的に進められるようになります。
これにより、不払に対する回収スピードが大幅にアップします。
【おわりに】
「どうせ払ってもらえない」と諦める前に、今回の新制度を賢く利用して、養育費を確実に支払ってもらいましょう。
「自分のケースではいくら請求できるの?」「具体的にどのような手続をすればいいの?」と不安な方は、ぜひ一度、弁護士への相談をおすすめします。

