せいわ法律事務所

法律コラム

2020.04.17

中小企業生産性革命推進事業について

玉垣 正一郎

1 目的・概要

中小企業は、人手不足等の構造変化に加え、働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入など、相次ぐ制度変更に対応することが必要となっています。
このため、中小機構は、複数年にわたって中小企業の生産性向上を継続的に支援する「中小企業生産性革命推進事業」を創設し、中小企業の制度変更への対応や生産性向上の取り組み状況に応じて、設備投資、IT導入、販路開拓等の支援を実施しています。

2 中小企業生産性革命推進事業とは

中小企業生産性革命推進事業では、①ものづくり補助金、②持続化補助金、③IT導入補助金という3つの補助金制度があります。
従来の補助金からの変更点として、通年での公募となるため、十分な準備をした上で、都合の良いタイミングで、申請・事業実施が可能です。(締切日は複数回設けられます。)

3 補助金のご紹介

①ものづくり補助金

ものづくり補助金は、中小企業が行う、革新的なサービス開発・試作品開発や生産プロセスの改善に必要な設備投資を支援する補助金制度です。
今回は、新型コロナウイルス感染症の影響で部品の調達・供給方法の見直しを行うために設備投資を行う事業者を対象に、優先的な採択を行う「加点調整」を行う事が決定しています。

②持続化補助金

小規模事業者の販路開拓等の取り組みを支援する補助金制度です。
補助対象となる取り組みの範囲が広いため人気のある補助金制度で、店舗の内装工事やHPの作成、チラシや看板の作成、ショーケースやレジシステム等の購入にも利用する事が出来ます。

今回はインバウンド需要の縮小(主にコロナ発生地の中国からの旅行客が激減)に対応するため、国内需要を拡大するためのインターネット販売の強化や、ビジネスモデルの転換、旅館等は事業を継続する為に人員の削減等を図る場合にも優先的な採択を受ける事ができます。騒動の終息後の販促活動なども本来の用途となります。

③ IT導入補助金

中小企業が行う、ITツールの導入による業務の効率化を支援する補助金制度です。
ITベンダー(ITツールの商社)が登録したITツールを対象に、運用による生産性の向上の度合いによって審査が行われる仕組みとなっていますが、今回はBCP(事業継続のための計画)対策としてテレワークの導入等を行う場合に優先採択の対象となります。
今回紹介している3つの補助金制度の中では最も人気が高く、近年は採択が受けづらい状況もつづいていますので、導入したいITツールに複数の候補がある場合は、「WEB会議システム」や「社内SNS」などテレワークに関連した対象製品から導入検討をしてみるとよいでしょう。

4「特別枠」とは

新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、中小企業生産性革命推進事業に「特別枠」が創設されました。
「特別枠」とは新型コロナウイルス感染症が事業環境に与える影響を乗り越えるために前向きな投資を行う事業者を対象に、補助率または補助上限を引き上げた枠のことです。

【各補助事業の拡充内容】

①ものづくり補助金
・・・補助率を1/2から2/3へ引き上げ
②持続化補助金
・・・補助上限額を50万円から100万円へ引き上げ
③IT導入補助金
・・・補助率を1/2から2/3へ引き上げ、PC、タブレット端末等のハードウェアにかかるレンタル費用も補助対象に

【申請要件】

補助対象経費の1/6以上が、次の要件に合致する投資であること

(a) サプライチェーンの毀損への対応
顧客への製品供給を継続するために必要な設備投資や製品開発を行うこと
(例:部品調達困難による部品内製化、出荷先営業停止に伴いう新規顧客開拓)
(b) 非対面型ビジネスモデルへの転換
非対面・遠隔でサービス提供するためのビジネスモデルへ転換するための設備・システム投資を行うこと
(例:店舗販売からEC販売へのシフト。VR・オンラインによるサービスの提供)
(c) テレワーク環境の整備
従業員がテレワークを実践できるような環境を整備すること
(例:Web会議システム、PCなどを含むシンクライアントシステムの導入)

※「特別枠」は通常枠と同じスケジュールでの公募実施となります。
※年度内に予定している締切に適用されます。

詳細は中小企業生産性革命推進事業の特設サイト(https://seisansei.smrj.go.jp)をご覧ください

初回相談30分無料

お気軽にご相談ください

TEL.052-211-7963

平日 09:00〜18:00 ※土日祝夜間相談:ご予約のみ