2020.05.14
関係ないと思ってませんか?揉めちゃう「争」族
今回は、どのような方でも、相続で争う、いわゆる「争」族が起こる可能性がある、ということをお伝えしたいと思います。
もっとも、このような「争」族も、かなりの範囲は、事前の対策によって防ぐことができるので、あわせて、事前対策の重要性も、感じてもらえたらと思います。
【揉めるか揉めないかに遺産の額は関係ない】
「遺産分割で揉めるのは、遺産がたくさんある人でしょ?うちにはたいした遺産もないし、揉めるはずがないじゃない。」とお思いの方もいらっしゃるかと思います。
でも、それは誤解です!
平成30年度の司法統計によると、裁判所で調停をやることになってしまった遺産分割のうち、およそ3件に1件が、遺産1000万円以下なんです。逆に、遺産が1億円を超えるものは、全体の7.8%しかありません。
もちろん、1億円も遺産がある人の方が少ないのは事実です。でも、遺産が少なくても、裁判所で調停をしなければならないほど揉めることが、珍しくないのです。
要するに、遺産の額は、揉めるか揉めないかとは関係がありません!
【きょうだいの仲がよくても安心できない】
「そうはいっても、うちのきょうだいは昔から仲が良かったし、揉めるはずがない。」とお思いの方もいらっしゃるかもしれません。
これも、本当にそうだと言い切れるでしょうか。
たとえば、あなたは、ほかのきょうだいと、年に何回顔を合わせていますか?
きょうだいが、今、どんな生活をしていて、どんなことで、どれくらい悩んでいるか、詳しく知ってますか?きょうだいの夫・妻がどんな人か、ちゃんとわかっていますか?
家を出て、独立し、結婚し、家庭を持っていくにつれて、昔とは事情が変わってしまうものです。
- ・思ったように昇進できない、給料も伸びない、なんならクビになるかもしれない
- ・でも、家賃の支払いや、住宅ローンの返済は待ってくれない
- ・子どもには習い事もさせたいし、私立に行かせると学費も大変、なんなら食費も…
あなたも、ちょっとくらいは思い当たる節があるんじゃないでしょうか。
日々の生活にお金は必要不可欠です。その気持ちが少しでもあると、それが、相続で揉める原因になってしまう可能性があるんです。
もうちょっと踏み込んで申し上げると、きょうだい仲がいいと思ってるのはあなただけってことはありませんか?「親は、昔から兄貴ばかりひいきしていた。」っていうのは、相続の相談で、本当によく聞くフレーズです。でも、兄にしてみたら、弟・妹がそんなふうに思っていたなんて、思いもよらないものです。
こういう不満は、ご両親がご存命のうちは耐えられても、ご両親がともに亡くなってしまったときに、大爆発することがあります。実際、相続の相談は、片方の親がご存命というケースよりも、ご両親ともに亡くなられているケースの方が圧倒的に多いです。
あなたの場合は、どうでしょうか。
【遺言があるだけでは争族はなくならない】
最後に、「そういうこともあろうかと、親にはちゃんと遺言を作ってもらっている。だから、うちは揉めるはずがない。」と思っておられる方。
最後の詰めができていますか?
ちゃんと遺言を作成している、それはすごいことです。今でも、わざわざ遺言なんか作らない、という人はとても多いですから。 でも、遺言があったとしても、残された人たちが無条件にそれに従ってくれるかというと、それはまた別問題です。あまりに内容が不平等だと、そのことに不満を持ち、遺留分で大揉め、という可能性も十分あります。
また、若くて、亡くなることを意識していない人は、遺言を作るなんて考えもしないことが多いです。そのため、遺言を作るのが、亡くなる寸前になってしまうことも、多々あります。 そうなると、亡くなる寸前で、ちゃんと物事も理解できないまま、遺言が作られちゃったんじゃないのか?という揉め事が起こりかねません。
さらに、専門家のアドバイスを受けず、自己流で遺言を作っていると、思いもよらぬ不備があるかもしれません。そうすると、せっかく作った遺言も台無し。結局揉めてしまうことになりかねません。
【最後に】
今回申し上げたかったのは、このように、どんな人でも相続が争族になる可能性がある!ということです。
弁護士として、たくさんの争族を見て、解決してきました。だからこそ、みなさんが気づかないような危険な点に気づくことができますし、その対策もいろいろご提案できます。
そして、対策は、早いタイミングで行った方が間違いなく効果的です。ここまで読んでくださったこの機会に、一度、ご相談にいらっしゃいませんか?